自分や家族が刑事事件の被疑者・被告人になってしまった場合、なるべく刑を軽くしたいものです。実刑を免れないケースでは、執行猶予判決を狙って行く必要があります。
今回は、執行猶予を得るための対処方法について、刑事事件の専門家である弁護士が解説します。
1.執行猶予とは
刑の執行猶予とは、刑罰の実際の適用を猶予してもらえる制度です。
刑事事件で裁判になり、有罪判決を受けると、刑罰を言い渡されます。しかし、執行猶予を受けることができたら、すぐには刑罰を受けずに済むのです。懲役刑なら、刑務所に行かずに済みますし、罰金刑なら支払いをしなくて済みます。ただ、実際に執行猶予を付けられるのは、ほとんど懲役刑か禁固刑の場合です。罰金の執行猶予というのはあまりありません。
執行猶予がつく場合には、猶予に期間が設けられます。猶予期間中に新たに犯罪を犯さなければ、以前の刑罰を適用されることがなくなります。
ただし、猶予期間中に別途犯罪を犯した場合には、以前の刑罰と新しい犯罪の刑罰を両方受けなければならないので、非常に刑罰が重くなります。
また、執行猶予がついた場合でも、無罪になるわけではないので、前科はつきます。
2.執行猶予をつけられるケース
執行猶予を付けられるのは、3年以下の懲役刑か、50万円以下の罰金刑に相当するケースのみです。
また、以前に禁固刑以上の有罪判決を受けていないか、受けているとしたら刑の終了後、5年が経過している必要もあります。
そこで、重罪の場合や、近年犯罪を犯したことがある場合には、執行猶予を獲得することが不可能な場合もあります。
3.執行猶予を獲得する方法
刑事裁判になったときに執行猶予判決を獲得するためには、情状を良くする必要があります。
被害者がいる事件であれば、早急に被害者と示談をして民事賠償問題を解決した上で、できれば嘆願書を書いてもらう必要があります。
被害者のいない事件であれば、被告人が反省していることを裁判所に伝え、社会に戻っても家族や職場による監督が期待できることを示すべきですし、贖罪寄付などを行うことも有効です。
4.刑事事件の当事者となったら、早急に弁護士までご相談ください
刑事事件の被告人になったとき、執行猶予がつくかつかないかで人生が大きく変わります。確かに執行猶予でも前科はつきますが、実際に刑務所に行くか行かないかでは、天と地ほどの差があります。効果的に執行猶予判決を獲得するためには、できるだけ早期に弁護士に対応を依頼して、適切な弁護活動を進める必要があります。
また、起訴前に弁護士にご相談された場合には、不起訴処分を獲得することも可能なケースがあります。そうすれば、そもそも刑事裁判にならないので、執行猶予を獲得するまでもなく解決しますし、前科がつくこともありません。
刑事事件の被疑者・被告人になった場合には、お早めに虎ノ門法律経済事務所まで、ご相談ください。