公務執行妨害罪は、一般人の方でも巻き込まれやすい犯罪の1つです。
具体的に、どのようなケースで成立し、どのくらいの刑罰を適用される可能性があるのか、押さえておくことが重要です。
以下では、公務執行妨害罪で逮捕された場合の対処方法について、虎ノ門法律経済事務所の弁護士が解説します。
1.公務執行妨害罪とは
1-1.公務執行妨害罪の基本
公務執行妨害罪とは、暴行または脅迫行為により、公務員による公務の執行を妨害したときに成立する犯罪です。
対象となるのは「公務員」による「公務の執行」です。
たとえば、職務質問をされているときに警察官を押し倒して逃げ出したケース、市役所の職員を怒鳴りつけたケースなどに公務執行妨害罪が成立します。
1-2.公務員
この罪の対象となる「公務員」には以下のような人が含まれます。
- 役所の職員
- 税務署の職員
- 警察官
- 公立学校の先生
- 公立病院の職員
- 消防士
- 自衛隊
1-3.公務の執行について
ただ、公務員相手に暴行や脅迫をしたら、常に公務執行妨害罪になるわけではありません。罪になるのは「公務の執行について」行為が行われたときだけです。そこで、仕事と関係のない私的な場面で暴行や脅迫をしても、公務執行妨害罪にはなりません。
1-4.暴行または脅迫
公務執行妨害罪が成立するには、暴行または脅迫行為が必要です。
たとえば、公務員の道具を隠したり、パトカーの前に立ちはだかったりして職務を妨害しても、公務執行妨害罪にはなりません。
2.他の犯罪が同時に成立するパターンが多い
公務執行妨害罪が成立するときには、相手の公務員に暴行を振るったり怪我をさせたり脅したりしているものです。そこで、傷害罪や脅迫罪、器物損壊罪などの別の罪が同時に成立するケースも多く見られます。
3.公務執行妨害罪の刑罰
公務執行妨害罪の刑罰は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金刑です(刑法95条1項)。
4.公務執行妨害罪で逮捕された後の流れ
公務執行妨害罪に問われるときには、現行犯逮捕されてしまうことが多いです。ただ、微罪の場合には、そのまま釈放されて、在宅で捜査が続くこともあります。勾留される場合でも、勾留期間が比較的短くなりやすいです。捜査が終了するか勾留満期になると、検察官が起訴にするか不起訴にするか、決定します。
5.対処方法
公務執行妨害罪の場合、公務員と示談することはできません。公務執行妨害罪の保護法益(守る対象)は、「公務員」ではなく「公務」そのものだからです。
そこで、被疑者がしっかりと反省していることやこれまで真面目に生きてきたこと、今後は家族による監督が期待できること、定職に就いていることなど、さまざまな有利な事情を主張して、検察官に不起訴処分とするよう説得する必要があります。
公務執行妨害罪で不起訴処分を獲得するためには、早期に刑事弁護の専門家が関与すべきです。まずはお早めに、ご相談ください。