危険ドラッグを所持・使用しても、そのこと自体は違法ではなりません。危険ドラッグは、覚せい剤取締法や大麻取り締まり補違反、麻薬及び向精神薬取締法の抜け道となる薬物であり「脱法ドラッグ」などとも呼ばれています。
しかし、危険ドラッグだからといって、使っても問題がないわけではありません。
今回は、危険ドラッグ(脱法ドラッグ、危険薬物)の問題点について、虎ノ門法律経済事務所の弁護士が解説します。
1.危険ドラッグとは
危険ドラッグとは、麻薬や覚せい剤などと類似の効果があるにもかかわらず、法律が指定する禁止薬物の成分を含まない薬物のことです。
犯罪行為には予測可能性が必要なので、法律は、基本的に「禁止薬物を指定する」方法によって、危険な薬物を規制しています。
ところがそうすると、規制の対象にはなっていないけれど、類似の効果を持つ危険ドラッグがどんどん作られてしまいました。それを追いかけて新たに法規制が行われると、また抜け道のドラッグが作られる、ということが繰り返されて、いたちごっこのような状況が発生したのです。
そのような中、近年薬事法が改正されて「指定薬物制度」という新しい制度が導入されました。これは、問題が十分に証明されていない段階であっても、厚生労働大臣が規制対象の薬物を指定することができる制度です。これにより、新しい薬物へ迅速に対応することが可能となっています。さらに、「包括指定制度」という制度も導入されました。これは、基本的な物質の「化学構造」を把握して、まるごと規制する方法です。包括指定制度によると、既存の薬物に多少変化を加えて異なるものとしたとしても、包括して規制の対象となります。
そこで、現在規制が及んでいない薬物であっても、今後いつ規制が及ぶようになるかわからない状況です。また、売人が「規制されていない危険ドラッグだ」と言っても、本当かどうか保証はありません。
このようなことを考えるなら、絶対に「危険ドラッグ」には手を出さないことが重要です。
2.交通事故との関係
危険ドラッグを使って運転をすると、重大な交通事故を引き起こしてしまう事例が多いです。このような場合、「危険運転致死傷罪」が成立するので、ときには20年以上に及ぶ、非常に重い刑罰を適用されてしまう可能性も十分にあります。
危険ドラッグは絶対に使わないこと、万一使ってしまった場合には、絶対に車を運転しないことが重要です。
3.危険ドラッグで逮捕された場合の対処方法
危険ドラッグ(危険薬物)の使用や交通事故によって逮捕されてしまった場合には、早めに弁護士に対応を依頼して、防御活動を開始することが重要です。
早期に更生への道筋をつけて検察官や裁判所にアピールすること、しっかりと反省して自分を見つめ直すこと、周囲による監督ができるよう環境を整えること、被害者がいる場合(交通事故)には示談を進めることなどが必要になってきます。
危険ドラッグで刑事事件になったら、お早めにご相談ください。