器物損壊罪は、意外と簡単に成立する犯罪です。普段は真面目な方でも、飲酒した勢いで周囲の物を破壊してしまったりすると、器物損壊罪となり、逮捕されてしまう可能性もあります。
今回は、器物損壊罪が成立するケースと量刑、対処方法について、虎ノ門法律経済事務所の弁護士が解説します。
1.器物損壊罪とは
1-1.器物損壊罪の基本
器物損壊罪は、故意に他人のものを破損した場合に成立する犯罪です。
対象物品には、無機物のみならず、動物も含まれます。
そこで、他人の持ち物を壊したり、ペットや家畜に怪我をさせたり病気にさせたりすると、器物損壊罪ないし動物傷害罪が成立します。
「損壊」というのは、物の本来持つ効用を失わせることなので、物理的に壊すことだけではなく、広く「ダメにしてしまう」行為を含みます。
たとえば、壁に落書きをしたり、物や動物を持ち去ったりした場合にも、器物損壊罪が成立します。他人の物を持ち去ったときには、「自分のものにしてやろう」という「不法領得の意思」があれば窃盗罪になりますが、その意思がなく、単なる嫌がらせ目的であれば器物損壊罪が成立します。
1-2.親告罪
器物損壊罪は、親告罪なので、被害者による刑事告訴がないと、処罰されることがありません。
1-3.未遂罪や過失犯はない
器物損壊罪には、未遂犯がありません。そこで、嫌がらせで他人の物を壊そうとしたけれども失敗した場合には、犯罪は成立しません。
また、壊そうという気持ちがなかったけれども不注意で壊してしまった場合にも、罪にはなりません。
2.器物損壊罪の量刑
器物損壊罪の量刑は、以下の通りです。
- 3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料
科料とは、1万円未満の金銭支払いをしなければならない刑罰です。
実際に器物損壊罪で有罪となるとき、初犯であれば罰金刑を適用されるケースが多いです。
ただし、被害品が高額なケースや特に悪質なケース、被害者が多数いるケースなどでは懲役刑を選択される可能性もあります。
3.器物損壊罪の被疑者となった場合の対処方法
もし、他人の物や動物を傷つけてしまい、告訴されて刑事事件になってしまったら、早めに被害者に謝罪して、示談を進めるべきです。示談が成立して刑事告訴を取り下げてもらうことができたら、器物損壊罪は親告罪なので、確実に不起訴処分となります。
また、故意がないのに逮捕されてしまった場合には、犯罪の成立自体を争えるケースもあります。
器物損壊罪の場合、器物損壊罪の起訴率は30%程度ですから、早期に対応すれば十分不起訴を獲得できる可能性があります。そのためには、刑事事件の専門家による対応が必要となりますので、刑事事件になった場合、お早めにご相談ください。