暴行罪や傷害罪は、一般の方でも被疑者になりやすい犯罪と言えます。
特に、酔っ払って飲食店の他の客や通行人、タクシー運転手などに暴行を働いてしまうことなどがよくあるので、注意が必要です。被害者が診断書と共に被害届を出すと、逮捕されてしまう可能性もあります。
今回は、暴行や傷害事件を起こしてしまった場合の対処方法について、弁護士が解説します。
1.暴行罪とは
暴行とは、不法な有形力を行使することです。
典型的な行為は、殴ったり蹴ったり、肩を揺さぶったり胸ぐらをつかんだりする行為です。
ただ、それに限らず、人に塩を振りかけたり水をかけたりすることが「暴行」とされることもありますし、着衣を引っ張ったり大声で怒鳴りつけたりすることが暴行になることもあり、暴行罪は、意外と成立範囲が広い犯罪です。
2.傷害罪とは
傷害罪は、人を「傷害」したときに成立する犯罪です。傷害とは、人の生理的機能を害することです。典型的には、怪我をさせる場合ですが、それだけにはとどまりません。
たとえば、隣室において、大音量でステレオを鳴らし続けたために、隣人がノイローゼになったケースで「傷害罪」となることもあります。被害者がうつ病になったケースや被害者に感染症をうつしたケース、薬物中毒にしたケースなどで傷害罪が成立することもあります。
また、暴行をした結果、相手がケガをすると傷害罪なので、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯(結果が発生することによって重くなる犯罪)と言えます。
3.暴行罪、傷害罪の刑罰
暴行罪の刑罰は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料です(刑法208条)。初犯の場合、略式裁判となって罰金刑を科されることが多いです。
傷害罪の刑罰は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です(刑法204条)。
傷害罪の場合には、相手に発生した結果によって、適用される刑罰が大きく異なってきます。軽傷なら罰金もありますが、重傷なら懲役刑が選択される可能性が高くなります。
4.暴行罪、傷害罪で刑事事件になった場合の対処方法
暴行罪や傷害罪で刑事事件になった場合、とにかく早めに被害者と示談交渉を進めて和解すべきです。初犯の場合などでは、起訴前に被害者と示談が成立すると、ほとんどのケースで不起訴にしてもらうことができます。
示談を進めるときには、被疑者自身が対応するよりも、弁護士が間に入って話をする方が、スムーズです。弁護士が示談を進めるときには、示談書を作成して被害届や刑事告訴を取り下げてもらい、検察官に示談成立を知らしめて、より確実に不起訴処分にしてもらえるように対応します。
暴行罪や傷害罪で有罪判決を受けると、たとえ罰金で済んだとしても、一生消えない前科が残ります。刑事事件になってしまったら、不起訴処分を獲得するために、お早めに弁護士までご相談ください。